衝撃的なまでの駄作。ミステリーとファンタジーを組み合わせたかった気持ちはわかるが、全て裏目に出ている。ファンタジー部分の基本は崩壊しているし(手書きの地図でも役割を果たせることは明らかなのに、印刷された地図を探しまわることを全編の柱にしている)、悪役は誰か考えさせるミステリーのはずなのに初登場した瞬間から明らかだし、人々の動機はどれも筋が通らない。ストーリーに力が不足していることを補うため、章の転換は売れない漫画によくある「この時はまだ、ぼくたちは気づいていなかったんだ」で引っ張る方式。
親子関係がテーマなのかと思いきや、他にも立てたいテーマがあるようだし、狭い世界に無理に恋愛関係を持ち込む部分も厳しい。親子関係を書くならあえてミステリーにせず普通にファンタジーにすれば良かったのに、ターゲットやテーマの絞り込みの難しさを示す事例を書いてくれてありがとうという感想。
