Playing to the Edge: American Intelligence in the Age of Terror

スノーデン・ファイルに続いて読みたかった本。長年インテリジェンス界を率いて、今も活発にコメントしているヘイデンの自伝。

文体はこなれず、話が飛び、重複が多く、無駄な小話が多い。だが、liberty and securityのバランスが常時課題であり、葛藤しながらギリギリのところでやってきたのだと理解させようと腐心してのこと。本人の強い信念として、securityが至上命題であることも明白。

cyber domainの概念を軍で確立した際、これをglobal commonsと捉えて育つ世代がいることを理解できていなかった、との反省が随所に出てくるのがおもしろい。

アメリカ政府にいた人の本で、悪口が書いてない本は見たことがない。

Playing to the Edge: American Intelligence in the Age of Terror

Embers of War: The Fall of an Empire and the Making of America’s Vietnam

良書。第二次大戦からフランスとの戦い、アメリカがはまり込むまでのプロセスが中心だが、第一次大戦後にホーチミンがウィルソンにアプローチを試みるところから始まり、フランスとアメリカへのホーチミンの見方が継続的に描かれる。

ベトナム戦争を書いた本は多いが、ベトナムとは別のところで動く世界情勢、国家間の駆け引き、各国の国内事情、各人のパーソナリティがいずれもきちんと描き出され、絡まった全体像を示してくれる。

イギリス、フランス、アメリカが、戦争終結と継続の立場を次々入れ替わりつつ、結果として続いていく様、現場のCIAと並び、国内の支持者として南ベトナムを守ったマンスフィールドの役割、イーデンの交渉一家言など、調べたくなる点も多い。

Embers of War: The Fall of an Empire and the Making of America’s Vietnam

The Angel: The Egyptian Spy Who Saved Israel

ナセルの娘の夫で、イスラエルのスパイだったAshraf Marwanを丹念に追った本。

恵まれた状況下でスパイとなった理由や小説よりおもしろいハンドラーとのやりとりも楽しいが、何より興味深いのは、イスラエルがこれだけの情報を得ていながら、思い込みによって情報のフル利用がなされず、1973年10月に不十分な態勢で奇襲を受けるに至るプロセス。

 

The Angel: The Egyptian Spy Who Saved Israel (English Edition)

憲法改正とは何か: アメリカ改憲史から考える

アメリカが憲法改正を通じて国の形を作ってきた歴史を辿り、日本では何をするのが良いか考えさせる本。

きっちりした改正もさることながら、最高裁、議会、大統領の三権がそれぞれの立場から憲法解釈による必要な軌道修正に取り組む部分が大変おもしろい。

 

憲法改正とは何か: アメリカ改憲史から考える (新潮選書)