はるか昔に読んで、再読。記憶も薄いが、記憶より明るい話という印象。収録されている「東京のプリンスたち」を見ても、作者は音楽が頭に流れているタイプかと思う。
宿命 國松警察庁長官を狙撃した男・捜査完結
警察庁長官が狙撃されて奇跡的に生きていた事件について、捜査を担当した刑事が書いた本。東大卒のサイコパス気味な狙撃マニアが犯人で、証拠も多く掴んだのに、オウムだと信じた公安部に潰された、という話。
作家の作でないので読みにくいが、警察内部の話、容疑者を落とす手法がごく普通の人間関係だったりするところなど、おもしろい。映画みたいなところも多い。
ドキュメント 北方領土問題の内幕 ──クレムリン・東京・ワシントン
日ソ共同宣言の交渉経緯。鳩山一郎の信頼を受けて交渉に当たった河野一郎の秘書を父に持つ記者が、父の日記も活用して書いたもの。
著者が書いているとおり、国内政治と外交交渉を全体として見る視点があり、よくわかる。国内政治とは切っても切れない話なので、良い手法。
国交がなく人物情報も不足しているソ連との交渉までを、完全に国内政治なお座敷密談のやり方で進めていくあたり、描かれる日本政府の情報砂漠感の背景の中で、リスクが高すぎる感が強い。
