御巣鷹山日航機墜落事故を取材する地元記者が主人公。
親子関係や友人が絡んだ社内の権力闘争が同時にスピード感良く展開していく。
書いた人が実際に地元記者だったらしく、ドキュメンタリーとしか思えない面もある。
社内の権力闘争や、人々の熱さが昭和に感じられる。
オールド・テロリスト
久しぶりに村上龍の小説。
冒頭からNHKへの液体まき放火の話で、(もっと前に書かれているのだが)2019年に読むと恐ろしさがある。
高齢者によるテロ、という非現実的な着眼点、最後の現実的なあっけなさ、共にリアリティが高く、一気に読める。
東京の各所での妙な人々の動きが描かれるが、そんな人たちがまさに「いそう」な感じがする。
三階書記室の暗号 北朝鮮外交秘録
脱北した北朝鮮外交官が北朝鮮外務省での仕事を中心に書いたもの。
核開発には関わっていないが、核開発を支えるため外務省がどう動いたかが良くわかり、おもしろい。
これだけの細かい話を記憶だけで書いたなら、異常に記憶力の良い人という気がする。
題名の3階書記室の暗号とは、金正哲がエリック・クラプトンのコンサートに行くのを支援する「極秘」ミッションの話で、核開発の話を期待すると拍子抜けするが、著者としてはこれも契機になって脱北した模様。
