文字と組織の世界史:新しい「比較文明史」のスケッチ

世界史を別視点で見るシリーズ。文字と文明を中心に見たもの。
帳簿・・よりも更に、世界史を鳥瞰した(西欧視点でない)切り方で見るという積極的な姿勢が本を通じて明らか。
あとがきを見ると、著者がオスマン帝国を研究し始めた理由が、まさにそれを目指したから、だったそうで、納得する。

文字や文明だけでは割り切れない普通の歴史が長々続く部分もあるが、読後感としては、歴史の「全体を流れる」「全体に通ずる」ものが3D的に浮かんで見える気持ちになり、とてもありがたい本。欧米、パン・イスラム、中国と並んで梵字世界を体現するインドをあげているのも正しい。

なぜ原人はアフリカ生まれなのに、同じところで「文字」や「文明」は生まれていないのか?という疑問が浮かんだ。
→これは前提が間違った疑問で、生まれたが鳥瞰視点で説明できるような大きな潮流にならなかったから取り上げられていない、というのが正しい感じ。

文字と組織の世界史:新しい「比較文明史」のスケッチ

2021年 日本はこうなる

この手の本は多いとおもうが、三菱UFJリサーチのもの。
目次と少しぱらぱら眺めただけなので、断片的な感想だけ。

銀行業界のシンクタンクだからか、金融や通貨について何も書かれていない。

それぞれの業界担当が章ごとに書いたようで、業界横断、分野横断の視点がないように見える。誰向けの本なのだろう。

5年くらい経ってから読み、あの頃はコロナ一色だったなあと思い返すのに良いかも。

2021年 日本はこうなる

帳簿の世界史

世界史を別視点で見る(個人的)シリーズ。帳簿(会計)から切ってみた本。

カネが世界を動かした、と見るのは普通だが、帳簿の有無、良し悪しが世界を動かしたというスタンスで、確かにそうかもと思う。
会計士が読んだら、前半は誇らしい気持ちになり、最後はさくっと落とされる。

編集がつけた付録には、日本は中国から会計記録文化も輸入したと書かれている。
筆者は、会計の透明性が国(経済)の成長を決めるのに、今の製造と金融の大きな部分を占めるのが中国で、閉ざされた世界になってしまったことを書いている。
いつか、会計文化を逆輸入できる状態になることもあるのだろうか。

帳簿の世界史(文春文庫)