安倍政権では、元官僚の秘書官や補佐官が力を持っているという話。
過去に報道された内容が多いが、インタビューが多いのでさくさく読める。
ただ、官邸官僚は次官レースのトップを走ってきたスーパーエリートではない、という一文を見て、この本全体が単なるひがみ?と思わされた。やる気と能力がある人が仕事を担うことじたいに問題はないはず。そうでない問題点を炙り出そうとしたのだろうけど、残念。
安倍政権では、元官僚の秘書官や補佐官が力を持っているという話。
過去に報道された内容が多いが、インタビューが多いのでさくさく読める。
ただ、官邸官僚は次官レースのトップを走ってきたスーパーエリートではない、という一文を見て、この本全体が単なるひがみ?と思わされた。やる気と能力がある人が仕事を担うことじたいに問題はないはず。そうでない問題点を炙り出そうとしたのだろうけど、残念。
ナチスが台頭し、世界が対決ポジションに入る前の不思議な一時期の話。
アメリカの駐ドイツ大使とその娘を中心に、本当の話を日記や資料から追い、小説風に仕上げた本。
小説風に書くという手法もおもしろいが、ナチスが一直線ではなく上って行った時期の雰囲気がおもしろい。
その不思議な時期にロシア外交官と恋に落ちていたアメリカ大使の娘も相当だとおもう。
御巣鷹山日航機墜落事故を取材する地元記者が主人公。
親子関係や友人が絡んだ社内の権力闘争が同時にスピード感良く展開していく。
書いた人が実際に地元記者だったらしく、ドキュメンタリーとしか思えない面もある。
社内の権力闘争や、人々の熱さが昭和に感じられる。
久しぶりに村上龍の小説。
冒頭からNHKへの液体まき放火の話で、(もっと前に書かれているのだが)2019年に読むと恐ろしさがある。
高齢者によるテロ、という非現実的な着眼点、最後の現実的なあっけなさ、共にリアリティが高く、一気に読める。
東京の各所での妙な人々の動きが描かれるが、そんな人たちがまさに「いそう」な感じがする。
脱北した北朝鮮外交官が北朝鮮外務省での仕事を中心に書いたもの。
核開発には関わっていないが、核開発を支えるため外務省がどう動いたかが良くわかり、おもしろい。
これだけの細かい話を記憶だけで書いたなら、異常に記憶力の良い人という気がする。
題名の3階書記室の暗号とは、金正哲がエリック・クラプトンのコンサートに行くのを支援する「極秘」ミッションの話で、核開発の話を期待すると拍子抜けするが、著者としてはこれも契機になって脱北した模様。
流言のメディア史に出てきた話をぱら見。不死身といわれた人が繰り返し特攻から生還した理由は、上司が冷静な判断力で爆弾を落とせるように改造してくれ、本人のスキルもあったから。
フェイクニュースは最近の話ではなく、活字やラジオなどのメディアでも、むしろ昔は多かった。ファクトチェックができる現在の方が少ないというのは、違和感ない。どのようなメディアであっても、批判的に捉えて事実かどうか考えるメディアリタラシーが重要、という当たり前のことが繰り返し書かれる。
誤報があった場合の新聞社の対応も書いてあるが、筆者がいうように新聞メディアは人々の歴史観を作るものなのであれば、もっと厳しい対応が必要になる。実際には、新聞メディアによって人々の歴史観が左右されていないからこそ、あまり厳しくされていないのだろう。
歴史題材の小説を書いている人が、英仏百年戦争といわれる出来事を見直した本。
著者の言いたいことは、「英仏が百年の戦争をしたのではなく、その百年が英仏の戦争に変えたのである」とか、「フランスという既存の国が『英仏百年戦争』に勝利したのではなく、『英仏百年戦争』がフランスという新たな国を誕生させたのである」という辺りに集約される。当時は国民国家でもなく、ナショナリズムも最初はなく、フランス人どうしがはじめた争いが、終わる頃には二つの国家になっていたという話。
2003年の本なので、EUへの期待で終わっている。今なら何というだろうか。EUとイギリスの関係も、後世からみれば百年抗争とでもいえるような時期に今が当たるのかも。
トランプ当選前の人々の気持ちを取材してまとめた本。分析は少しだけで、タイトルどおりインタビューをまとめたルポルタージュが中心。臨場感ある書き方で、気持ちがよく伝わる。
暮らしが楽にならない人々の不満の源泉は、グローバル化だけにまとめることはできないし、トランプがいう自由貿易と不法移民に対処したところで、極端な貧富の差がなくなるわけでもない。でも変えて欲しい、という気持ち。
トランプ旋風はトランプが出たから吹いたのではなく、トランプが風に乗った、という大方の見方に合致する。
引きこもりや家庭内暴力の子をもつ親が、なぜ子殺しをするか、実例を追った本。要は親の生育プロセスと、そこから来る感情の子への投影、投影された子のフラストの発現、という感じで、親が悪いということになっている。
必ずしもね、という気もするが、そういう視点で一家を立ち直らせた名カウンセラーの話は圧巻。