経済学の流れがどうなっているかをざっと眺める本。著者の趣味で特定の人だけ、個人についてずいぶん書き込まれていたり、不思議なバランスではある。あまり内容に入らずにさわりだけ知りたい時には便利か。
機械学習入門 ボルツマン機械学習から深層学習まで
同じようなタイトルで、同じようにイラスト表紙の本は、たいがい開くと数式だったり前提知識が必要だったりして、閉じることになる。この本は違い、最後まで一度で読めた。
白雪姫ストーリーだからというよりは、本当にわからせるように書いているからと思われる。前提になる部分がさらっとふわっと書かれていて、結局わからないまま最後まで読んだが、その程度のものと考えればいいらしい。でも最後には原書のリストまで載っていて、本気の入門書らしい。
クレムリンの魔術師
現実の人々に想像で語らせて良いのかとか、最初気になったことはすっかり忘れるほど、おもしろい本。プーチンと、それを取り巻く60年代生まれでペレストロイカの頃に社会に出た人々を描きながら、ロシアのなりたちをロシア作家の言葉も挟み込んで見せてくれる。
キャラクターメーカー 6つの理論とワークショップで学ぶ「つくり方」
キャラクターづくりについて、大学?での講義内容を本にまとめたもの。ワークショップとあるとおり、実際にやってみる部分がおもしろく役立つ。マンガや映画を例にひいて解説してくれている流れは楽しいが、最後の方で突然、9・11からアフガン、イラク戦争という現実のできごとへの当てはめをするのは、唐突で浮いている感じ。
ローマ人の物語 1―ローマは一日にして成らず〔上〕
再読。子供の時とは違う部分に関心が持てるのがおもしろい。さらっと書いてくれて、長大な歴史をどんどん進むので、これだけを読むと、アテネの「ソロンの改革」のうち軍隊を整備した部分は、ローマのセルヴィウスのと何が違うのかが妙に気になった。
The Hundred-Year Marathon: China’s Secret Strategy to Replace America As the Global Superpower
2015年の本。なので新しい話があるわけではないが、たたみかけるように自分を含む専門家の間違いと、それによって生じた不利益を次々と上げるのは、インパクトがある。
専門家がなぜ中国の意図を読み違えたのか、真実を述べる情報源もいたのに、なぜ偽情報の方を信じたのか、淡々と振り返る。イラク戦争の時のCurveballもそうだが、間違いも赤裸々に振り返ることができ、それを叩き潰さない土壌があるのは強み。
韓国併合
日本からの視点ではなく、韓国からの視点で韓国併合を組み立て直すという取り組み。教科書的な日本からの視点よりも、なぜそうなったのか、がよりわかりやすい気がした。
日本は明治維新以降、外交文書を緻密に保存してきたが、韓国はそうではないとのことで、裏付けとなる情報量に差があることも強く感じられた。
堤清二 罪と業 最後の「告白」
西武を築いた堤康次郎を父とする堤清二が、父の「業」に縛られたという人生を亡くなる直前までのインタビューで語ったもの。インタビュー継続中に亡くなられたようで、若干コンプリート感がないが、戦前からの時代の雰囲気もうっすらと感じられ、断片的に興味深い話もある。
日本を決定した百年
古本屋さんで百円で購入。吉田茂がイギリスの百科事典追補に頼まれて書いた巻頭論文、と前書きにある。本人が書いたのか役人が書いたのかはわからないが、開国、明治から戦後復興までをさっくりとマクロに、運営側の視点でまとめてある雰囲気は、本人の考えなのだろう。
今だと、戦争の振り返りや韓国併合に言及がないことを突き上げられそうだが、そういう圧力のない時代に何が書かれたのかという視点でもおもしろい。
日本がgood loserであり、日本国民が楽観的な人々だということと、日露戦争後に「目的」を失って漂流したという趣旨のことが繰り返し書かれている。それぞれの時代の指導層がどのように行動したかを、彼なりに切っている部分が印象に残る。
アメリカとは何か 自画像と世界観をめぐる相剋
アメリカ内政の潮流を「大きな画」にフォーカスして、簡潔に解説しながらまとめてくれた本。主要な論点の振り返りという感じで、あまり新しいポイントはないが、頭が整理できる。関連書も文脈の中で紹介してくれてありがたい。
