原色図鑑 世界の美しすぎる昆虫

昆虫は100万種くらい知られているが、実際にはその数倍いる、と言いつつ、その中で色・形・生態のおもしろいものを厳選して見せてくれる、虫好きでなくても興味を惹かれる本。

形がおもしろいものほどサイズが小さいので、仮に遭遇していても気づくことはなさそう。特にヨーロッパコフキコガネは、絶対ムーミン谷の住人だと思う。

SAVE THE CATの法則で売れる小説を書く

脚本向けだったSave the catを実際に使って小説を売り、さらに書きたい人々に教えてきた人が、すべて書いてくれた本。save the cat自体よりわかりやすいくらい、わかりやすいし、何よりも、いろいろな小説を事例として取り上げてくれているのが嬉しい。

これで書くかは別として、小説や映画や漫画を見る視点がクリアになる。

世界堂書店

小説家が選んだ短編集。ふだん短編は読まないので、このように編んでくれるのはありがたい。全部がおもしろいわけではないが、気に入るのが一つ二つ、好きではないが印象的なのが一つ二つあり、お得な本。

おいしい店は教えたくないとよく言うが、本と音楽はいくらでも共有できるのが良いところだと思う。

道なき未知

森博嗣の雑誌掲載エッセイまとめ本。

枠にとらわれがちな人に対して、とらわれなくて良い、と示そうという意図は良く、流して読めば爽快な本。

ただ、作者を含めて社会の恩恵を受けて生きているのに、社会がなくても生きていけるかのような印象が生まれているのは、ちょっと過大だと思った。小説を売るというビジネスをプロとしてやっている、と随所に書いているので、本人はそういうつもりはないはずだが。

マスカレード・ナイト

たまたま入手したが、シリーズ物の3つ目らしい。そのせいか、登場人物の書き込みが少なく、ストーリーはわかるが人物像はつかみにくい。シリーズで読んでいれば印象は違うのかも。警察の行動に現実味が感じられないが、そのくらいのエンタメ感覚が、この作家が受ける理由なのかもしれない。

マスカレード・ナイト

きむら式 童話のつくり方

著者の本を一冊も読んだことがないからかもしれないが、なんとなく好きになれない本。著書を事例に取り上げていろいろ解説してくれるが、たぶんファンの方がよくわかると思う。

子供だからこの程度、とバカにして書くのはおかしいとか、強く同意できるところもある。童話は全然読まずに童話作家になったそうだが、映画、劇、小説などに広く触れている感じはあり、そこはやはり他のクリエイターと同じとの印象。

きむら式 童話のつくり方 (講談社現代新書)

エンタテインメントの作り方

昔の映画を見ていると、映画をおもしろくする構成や撮り方など、ずいぶん進化したことが如実にわかることがある。この本を読むと、小説でも同じように考えて進化させることができるのだなと思う。

書かれているとおり、映画は多数の人で作るが、小説はほとんど書き手一人で作るということや、映画・マンガの場合は一瞥した中に多くの情報が含まれるのに対して、小説はそこを書き起こす必要があるというような違いから、劇的な進化が難しいのかもしれない。

こむずかしいテーマはともかく、読み手にとりおもしろいものにすることが重要という軸がしっかりしているところに好感。

エンタテインメントの作り方