The Retreat of Western Liberalism

共和党員が読んでる本とのことで、試しに読む。リベラリズムの終焉?というテーマが盛り上がっている中の一冊。

出だしはピケティの本かと思うような、格差の話。過去にはアメリカで移民の中間層の所得が伸びたが、今は途上国の中間層が伸び、アメリカの中間層は同じレベルに止まったので、成長神話という宗教が立ち行かなくなった。

次にliberalismとdemocracyの関係を述べようとするが、liberalism, democracy, illiberal democracyの定義がなされず、議論が整わない。

その後、謎の未来予想みたいなものが。

誰かが評していたとおり、前半は論点を提示しておもしろく読めるが、後半になるとダメになる本。

 

The Retreat of Western Liberalism (English Edition)

現代日本外交史 冷戦後の模索、首相たちの決断

サブタイトルのとおり、首相ごとに冷戦後の外交を概観した本。コアだけに絞られているので、概観するに良く、思い出して頭の整理になる。その時の首相の心情を吐露した部分が興味深く、引用された本に関心が膨らむ。

新書なので、日本も相手国も内政要因や他の国との関係に踏み込んだ「動画」を見せる余地はないが、その分、プロの撮った写真集にしたような印象。各首相への好き嫌いなのか評価なのかがにじんでいておもしろい。

現代日本外交史 冷戦後の模索、首相たちの決断 (中公新書)

宇宙は本当にひとつなのか―最新宇宙論入門 (ブルーバックス)

天才・村山先生の講演録。6年前なので、その後、ヒッグス粒子実証など、どんどん研究は進んでいるが、わかりやすく大づかみにしてくれる。

1,000億の銀河を作ったダークマター、よくわからないダークエナジー。異次元にあるダークマターの解。素粒子から宇宙のはじめと終わりまで、数学からギターまで、理論も実証もとてもcreativeで幅広い。アインシュタインが宇宙方程式を解くのに宇宙項を入れて、失敗だと思っていたが、今になって正しかったとか、物理楽しそうと心底思える本。

大局的な目が欲しい時に読むと最適。

宇宙は本当にひとつなのか―最新宇宙論入門 (ブルーバックス)

Playing to the Edge: American Intelligence in the Age of Terror

スノーデン・ファイルに続いて読みたかった本。長年インテリジェンス界を率いて、今も活発にコメントしているヘイデンの自伝。

文体はこなれず、話が飛び、重複が多く、無駄な小話が多い。だが、liberty and securityのバランスが常時課題であり、葛藤しながらギリギリのところでやってきたのだと理解させようと腐心してのこと。本人の強い信念として、securityが至上命題であることも明白。

cyber domainの概念を軍で確立した際、これをglobal commonsと捉えて育つ世代がいることを理解できていなかった、との反省が随所に出てくるのがおもしろい。

アメリカ政府にいた人の本で、悪口が書いてない本は見たことがない。

Playing to the Edge: American Intelligence in the Age of Terror

Embers of War: The Fall of an Empire and the Making of America’s Vietnam

良書。第二次大戦からフランスとの戦い、アメリカがはまり込むまでのプロセスが中心だが、第一次大戦後にホーチミンがウィルソンにアプローチを試みるところから始まり、フランスとアメリカへのホーチミンの見方が継続的に描かれる。

ベトナム戦争を書いた本は多いが、ベトナムとは別のところで動く世界情勢、国家間の駆け引き、各国の国内事情、各人のパーソナリティがいずれもきちんと描き出され、絡まった全体像を示してくれる。

イギリス、フランス、アメリカが、戦争終結と継続の立場を次々入れ替わりつつ、結果として続いていく様、現場のCIAと並び、国内の支持者として南ベトナムを守ったマンスフィールドの役割、イーデンの交渉一家言など、調べたくなる点も多い。

Embers of War: The Fall of an Empire and the Making of America’s Vietnam

The Angel: The Egyptian Spy Who Saved Israel

ナセルの娘の夫で、イスラエルのスパイだったAshraf Marwanを丹念に追った本。

恵まれた状況下でスパイとなった理由や小説よりおもしろいハンドラーとのやりとりも楽しいが、何より興味深いのは、イスラエルがこれだけの情報を得ていながら、思い込みによって情報のフル利用がなされず、1973年10月に不十分な態勢で奇襲を受けるに至るプロセス。

 

The Angel: The Egyptian Spy Who Saved Israel (English Edition)

憲法改正とは何か: アメリカ改憲史から考える

アメリカが憲法改正を通じて国の形を作ってきた歴史を辿り、日本では何をするのが良いか考えさせる本。

きっちりした改正もさることながら、最高裁、議会、大統領の三権がそれぞれの立場から憲法解釈による必要な軌道修正に取り組む部分が大変おもしろい。

 

憲法改正とは何か: アメリカ改憲史から考える (新潮選書)