戦後政治の証言者たち オーラル・ヒストリーを往く

藤山愛一郎について探していて手に取ったが、大変な良書。

著者はオーラル・ヒストリーの第一人者らしく、その趣旨も内容も、また話を聞いた人々を冷静に斬っていくところもおもしろい。日米安保改定を巡る政治家たちの回想を聞き取るところから始めたようで、その部分が厚いが、実は最後の「社会主義者たちとその証言」が一番おもしろい。

著者は研究者として、政治や政官関係を本来の制度趣旨に照らす捉え方で見ていて、野党が機能しないので自民党内の反主流派が野党の役割を果たしたとか、外務官僚が政治家のような動きをしたとか、中国の政治家が社会党をいいように使ったことを、イレギュラーな事象として書いている。ところどころ、日本の戦後政治が成熟したかは疑問だとさらっと書いている。せっかく説得力のある人なので、日本の状況が本来の姿と違うと思うところは、もっと大声で言ってくれていい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です